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  • KIMIÉ

近代の錬金術

最終更新: 2019年8月19日


錬金術ってなんだろう


何か怪しげな臭いのする言葉


今日は近代の錬金術ということで、


「金」を作り出す話です。


ありていに言えばお金というものに


ついて考えてみました。



『ファウスト』画ハリー・クラーク

ゲーテ著『ファウスト』のメフィス


トフェレスのモデルともなった経済


思想家で、史上最大の詐欺師の異名


まで持つ不換紙幣の生みの親ジョン


・ローを後程は紹介したいと思って


いるのですが、はじめに錬金術とは


一体どのようなものか、簡単に記し


ておきます。



錬金術は一般に卑金属を化学の力で


貴金属に変える方法と言われますが


金属自体は、超新星爆発で生まれた


物質です。



錬金術は英語で


アルケミー(alchemy)と言います。


これはアラビヤ語で技芸を意味する


アルキミア(alkimia)が語源のようで


すが、一般には金属を変容させると


いう語彙になります。


それでも、アル(al)は定冠詞なので


調べようがありませんが、キミア


(kimia)の方は、幾つかの説が見つか


ります。


ギリシア語で金属の溶融、鋳造を意


味するキマ(chyma)に由来するとも


言われるのですが、一説にはエジプ


トのナイル川がもたらす豊穣の黒い


大地は、万物の聖なる始原と考えら


れていて、この黒い土を


ケム(kmt 又は chem)と言い、ここに


その起源を認める主張もあります。


オシリス

こちらはオシリス神話に結びついて


オシリスを変幻の妙なる極めて重要


な神性を備えた黒い金属、すなわち


鉛と同一視しました。



灰吹法(はいふきほう)は鉛鉱石から


銀を流出させますが、こうしたとこ


ろから、自在な金属の転換を目指す


術が探求されていきました。


この流れがヘレニズム時代の宗教や


哲学とつながっていきます。


金銀を鉛ではなく、水銀に溶け込ま


せるアマルガム法も灰吹法も、旧約


聖書に記述の見られる技術です。



因みに啓蒙時代の大天才アイザック


・ニュートンには造幣局長になって


以来、鉛や水銀の中毒症状があった


と当時から囁かれていました。


20世紀になって遺髪を調べたところ


水銀が検出され、やはり錬金術に没


頭していたことが判明しました。


ニュートンの著した錬金術研究書は


研究所の火災でほとんどが焼失して


しまいましたが、その一部を購入し


検討した経済学者ケインズは、子供


の頃から尊敬していたこの古典力学


の完成者の知られざる一面に接して


「ニュートンは理性の時代の最初の


人ではなく、最後の魔術師だ」と、


言いました。



卑金属を金・銀・白金に変える高貴


な技である錬金術を、オカルト的で


魔術的な非科学と断定し、化学とは


別個のものとして捉えがちですが、


本来は古代から受け継がれた鉱物の


特性をそれぞれの当時の世界観だっ


た例えばアリストテレスの提唱した


火・空気・水・土の4元素やアレク


サンドリアでの活発な研究やキリス


ト教など、それにイスラム教徒らに


よりアラビアで体系化されたものが


中世ヨーロッパで精緻化され近代化


学の前史的階段を成すに至った業績


これらの知の形態を化学の括り、範


疇として考える方が錬金術の理解に


相応しいのではないかと思います。


錬金術を、邪な人間の強欲と眺めて


いてはその功績に気づかず、利殖行


為や悪徳商法の用例を見るに留まる


るだけで目くらましされ兼ねないの


ではないかと今回、調べながら思い


ました。


こうした錬金術と化学を分離しない


考え方をキミアと言います。


これには、主に2つの大きな要素が


あります。


1つは卑金属から貴金属を生成しよ


うとした造金術。もう1つは物質を


完全なものにすることを目指したこ


とから医薬へも発展し、不老長寿の


万能薬・霊薬エリクサーを探求した


長寿術で、こちらは中国起源といわ


れています。


錬金術の手書き原稿

中央のメルクリウス(水銀)は、別名

ギリシア神話のヘルメス神とエジプ

ト神話のトート神がヘレニズム時代

に融合したとされる伝説の錬金術師

ヘルメス・トリスメギストス。

ヘルメス・トリスメギストスは、エ

メラルドタブレットやヘルメス文書

の著者とされ、中世のアルケミスト

たちは、賢者の石を手にした唯一の

人物と考えていました。




誰もが求めてやまない金ですが、光


沢を持ち、熱や電気をよく伝え、展


性や延性に富むこの物質を、人類は


いつのころから使い始めたのでしょ


うか。



人類最古の金製品は紀元前6千年に


メソポタミア文明を築いたシュメー


ル人が作り出したと考えられていま


す。謎に包まれた高度な文明を持っ


たシュメール人は「神アヌンナキは


地球に金を掘りに来た」と粘土板に


残しました。


牝山羊の像

材料:木 金 銀 銅 ラピスラズリ

寸法:高45.7cm 幅30.5cm 重20kg

製作:前2600年~前2400年頃

発見:ウル王墓 所蔵:大英博物館


人間に価値を持つ金は、原子番号79


の元素です。


金の生成は現在、放射性同位体の生


成という意味では可能とされていま


す。原子の原子核に中性子線を当て


ると中性子が1個はじき出され、原


子番号が一つ下の物質になります。


ですので原子番号80の水銀に中性子


線を照射すると、原子核崩壊により


金に変わるのです。


けれどもそれには膨大なエネルギー


が必要なので、現時点では無意味、


と考えられています。


しかしなぜこれほどまでに、金には


価値があるのでしょうか。


それは美しく光り輝き、その上、希少


で有用性が高いからです。


ツタンカーメン

上段左:デスマスク 右:第三棺

2段左:第二棺   右:第二棺

3段左:第一棺   右:第二石棺

下段左:第一石棺  右:宝庫



これまでに採掘された金の総量は、


約18万トンで、これはオリンピック


公式プール(縦50m横22m深さ1,7m)


の約3杯~4杯未満しかありません。


地球上にまだ眠っていて採掘可能な


金の総量は約7万トンといわれてい


て、プールに換算すると約1杯半。


けれどもこの7万トンは、地下数千


メートルの採掘困難な深い鉱脈や活


動中のマグマや海水中に溶けている


金を含めての量です。




漢倭奴国王金印

鈕(ちゅう ハンドル):蛇

一辺約2.347cm 金95%

弥生時代 紀元57年 国宝


左:天正長大判 額面十両

  豊臣家1573~1591(天正年間)

  163,9g 177mm

品位 金730 その他270

オークション価格 3500万円


右:万延小判 別名 姫小判,雛小判

  幕府消滅の慶応3年(1867)まで

  3,3g 36mmx20mm

  安政の五か国条約を結んだ日本は

  条約国と自由貿易を開始したが、

  金銀比価は日本が金:銀=1:5

       外国が金:銀=1:15

  日本の大量な金流出を止めるのに

  金の含有量を少なくし金銀比価を

  揃えた貨幣改鋳を行い金の含有量

  の少ない小判を作った。しかし、

  貨幣改鋳は経済混乱を招き社会 

  不安を引き起こした。その結果、

  攘夷運動を激化させる要因となり

  民衆にも影響を与え、新興宗教・

  打ちこわし・百姓一揆・米騒動が

  多発した。





さて前置きはここまでにします。


本日、あなたと共有したいのは、


紙幣の話です。


左:最初の1万円券

中:4番目予定の1万円券(2024年)

右:日韓併合直前の大韓帝国で

  数年間流通した壹圓紙幣



あなたは1万円札を1枚作るのに幾ら


かかるかご存知ですか。


原料はミツマタやマニラ麻などとい


うことですが、答えはおよそ22円。


22円で作った紙が、1万円の価値を


持っているというのは、なんだか少


しおかしな気もしますが、たとえば


ウォーホルの作品に食器洗いパッド


ブリロ外箱を模して木の板で製作し


た彫刻があります。オリジナルは幾


らなのか知りませんが、30年程前、


奈良の山の辺の道に面した喜多美術


館の床に、このブリロボックスが幾


つも点々と置かれていたのを思い出


しました。


(『コカ・コーラ瓶』 ウォーホル作

落札価格29億円 2010年サザビーズ)


話は逸れますがこれは芸術とは何か


その意味を問い直す問題定義でもあ


りました。芸術がこれまでの鑑賞と


しての対象だったところから思考の


対象に属して、その意味付けが変革


して行った60年代は「芸術の終焉」


とも称されました。




話を戻しましょう。


私はこの間、シュタイナーの銀行シ


ステムのようなスウェーデンにある


会員制のJAK銀行を知りました。


非宗教的で政治的にも中立なJAK銀


行では、貯蓄に利子は付きませんが


貸付には管理コストのみを支払うと


いう、利子と無関係な運営がなされ


ているそうです。 JAKという名前の由来は、次の頭文 字をとったものです。 Jord=土地 Arbete=労働  Kapital=資本 この土地・労働・資本は古典派経済 学における生産の3支柱です。


このシステムは1930年代の世界恐慌


で多くの農場が通貨の不足と高金利


が原因で破産していた時期に、デン


マークで起こったJ.A.K銀行をモデル


にしています。


お互いのお金をお互いに融資し合う


共有の貯金箱のような銀行で、強大


な株主はいません。全会員が銀行を


一緒に所有しています。


会員が取得する株式は一つだけで、


それは重役を選ぶ際に同じ権利が与


えられるというものです。


JAKの目的は収益ではなく、融資と


貯蓄のサービスを無利子で、会員に


提供することです。




お金持ちはお金を持っているだけで


お金を得、持たざる者はより貧しく


なるのは、例えば家購入のローンを


組めば、利子を支払わなければなら


ないからです。


利子のシステムは、当然のことのよ


うに社会で定まっています。


しかしそれは、本当に正しい在り方


なのでしょうか。




エコロジー建築家で経済学者のマル


グリット・ケネディの精査によれば


生産者は、銀行に支払う利子分を、


価格に上乗せせざる負えなく、生活


必需品をみると物価の45%が利子に


由来する価格だと算出しました。




古代ギリシアの海上交易において、


利子を伴う貸付は広く行われていま


したが、当時から利子は問題視され


ていました。


アリストテレスは『政治学』1巻10


章の中で「貨幣が貨幣を生むことは


自然に反している」と述べました。


古代ヘブライでは徴利は禁じられて


いました。旧約聖書に残された掟は


キリスト教にも影響を与えましたし


イスラム教でも、通常は利子を取っ


てはならないことになっています。


利子についてローマ法以来の多くの


立法例では、単利は認めても、複利


計算は禁止されていました。



アインシュタインが人類最大の発明


と言った複利とは、利子の額を元本


に組み込んで計算するものですが、


前記したマルグリット・ケネディは


次のような喩えを用いて複利計算の


矛盾を問います。



ヨセフが息子キリストの誕生時に、


1プフェニヒ(100分の1マルク)を5%


の利子(利息)で銀行に預けました。


2000年後の現在にヨセフが再び現れ


預けたものを引き出そうとすると、


地球と同じ重さの黄金の玉が、13億


4000万個になると算出しました。


1985~1988年までの円とドルの為替レートの推移

現在の日本が景気回復に至らない要


因は、デフレ脱却の解決案が乏しい


ためです。


プラザ合意で円高が進みバブル化し


たのちに弾け、世紀末以来現在まで


深刻なデフレから脱却できず、失わ


れた30年が続いています。


それでも今秋には、政府は消費税引


き上げを行うのでしょうか。


税金が高くなれば、国民は買い物を


渋るでしょう。そして不安定な先行


きを見越して貯蓄に専念すれば、経


済は循環しません。


血液は循環することで命が生かされ


るように、貨幣も同じです。



現在のお金の仕組みは非常に理解が


困難です。


信用創造の仕組みも、きちんと把握


している人は少ないです。



日本の紙幣を発行するのは日本銀行


ですが、そのホームページに概要が


記されています。


「日本銀行は、日本銀行法によりそ


のあり方が定められている認可法人


であり、政府機関や株式会社ではあ


りません。」


認可法人とは民間人が発起人となっ


て設立し、設立には特別の法律に基


づいて、主務大臣の認可を受けるこ


とが必要とされる法人のことです。



日本銀行は明治15年(1882年)に半官


半民の出資で設立されました。


半民の部分は、西欧の金融資本家が


押さえたか否かは、未だ明らかにさ


れていません。


正確には株式会社ではないので出資


証券という分類になりますが、日銀


の株式は55%を政府が保有し、残り


45%は民間が持っていて、その内の


6%は金融機関などが保有し、残り


39%は個人という以外の情報はなく


また今日まで一切、持ち株の変動は


行われていません。



それではここで通貨発行権を手中に


収めるということはどういうことか


考えてみたいと思います。


それは、政府がお金が必要になって


国債を発行するたびに利子を得ると


いうことになります。



右:ハイパーインフレで価値を失っ

たマルク(1932年)を火に焼べる

  1ドルに対し9マルクだったが、

  42億マルクまで暴落




世界で最初にこの通貨発行権を手に


したのは、スコットランド出身の


ジョン・ロー(1671~1729)です。


「需要と供給で価格が決まる」とい


う法則を発見した経済学の元祖で、


中央銀行や金融システムを発明した


銀行家の元祖でもあります。



エジンバラ近郊の金細工師で銀行家


だった父親が亡くなると、銀行業を


学びますが湯水のようにお金を浪費


した挙句に、賭博師になりました。


そして23歳の時、貴族の娘をめぐっ


て決闘となり相手を殺してしまった


ことから投獄され、絞首刑の判決が


下されますが難を逃れてヨーロッパ


各国の経済システムを注意深く観察


し、経済思想家として自分の思想を


持つまでになります。


その後、フランスの宮廷に縁故を得


フランス初の紙幣を発行し、世界で


初めて、貴金属と交換できる保証の


ない銀行券、すなわち不換紙幣を産


み出したのです。



金と交換できなくても、国王とその


臣下が適切な判断の下に紙幣を発行


している筈と人々が信じることがで


きれば、貨幣制度は崩壊しないと、


ジョン・ローは推測しました。


それは当たっていただけでなく時代


を先取りしすぎていました。



関連していえば、これはフランクフ


ルトで古銭商人としてスタートし、


ヘッセン選帝侯家の御用商人の銀行


家となったことで成功のきっかけを


掴み、ナポレオン戦争で大きな財を


成すマイヤー・アムシェル・ロス


チャイルドの台頭以前の話です。




リチャード・ニクソンが金本位制を


手放してブレトンウッズ体制が終わ


りを告げたのは1971年のことですが


金に裏付けられた金本位制の問題は


経済が発展して商取引が盛んになる


とたくさんの貨幣が必要になり、世


の中に出回る貨幣の量は、鉱山から


採掘された金の量に左右されるので


世界大戦後の経済成長の下では不足


してしまうのです。



ジョン・ローは実に250年も時代に


先んじていたことになります。


ジョン・ローは言いました。

「私は賢者の石の秘密を探り当て


 ました。 つまり紙から金を生み


 出せばいいのです」 


ジョン・ロー(1671~1729)

この言葉から思い出されるのは紙幣


の創造に象徴される錬金術をテーマ


に悪魔メフィストフェレスとヨハン


・ゲオルク・ファウストの契約を描


きゲーテの遺作となった不滅の大著


『ファウスト』です。


これこそが『ファウスト』の表には


見えない隠れた核心で、本当の主題


なのです。



ファウスト博士は実在の錬金術師で


南ドイツのシュタウフェンに獅子亭


という宿屋が今も残っていますが、


その外壁には「1539年、黒魔術師


ファウスト博士、獅子亭に死す」と


刻まれた碑文があるそうです。



黒魔術(ブラックマジック)とは、錬


金術の別名です。その由来は、古代


ギリシア哲学で提唱された世界を構


成する4つの要素は、火・土・水・


空気の4元素(アルケー)ですが、そこ


に賢者の石という第5の要素が加わ


ると、鉛のような価値の低い金属を


金に変える魔法の力が生まれるとい


う錬金術思想を産んだ古代エジプト


でケムという黒い土が使われていた


からです。 


ワイマール王国の宰相も務め科学者


でもあったゲーテはジョン・ローを


モデルにして、メフィストを描き出


したのです。


現実味を帯びた貨幣創造の場面を記


述するには、実際の事件があり実在


の対象となる人物の存在なくしては


あり得ませんでした。


なぜなら『ファウスト』第2部を書い


た19世紀前半には、祖国に紙幣はな


かったのですから。




ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエ


ンス全史(下)文明の構造と人類の


幸福』によれば、ジョン・ローは


宮廷に強力なつてがありました。



1718年にフランス政府はバンク・


ロイヤル(王立銀行)として買い取


るのですが、ジョン・ローはその


2年前、1716年に前身だったバン


ク・ゼネラル(総合銀行)を設立し


ました。



1717年には、フランスの勅許を得た


彼のミシシッピ会社は、パリの証券


取引所に上場しました。


ミシシッピ川下流域の植民地化に着


手するその過程で、湿地帯でワニし


かいないニューオーリンズに都市の


建設もしました。


ミシシッピ会社取締役のジョン・


ローは、中央銀行の総裁であった


ばかりか、国王は彼を財務総監に


任命しています。


ミシシッピ会社は富と無限の機会が


待っているかのような噂を広め、愚


鈍な貴族、実業家、中産階級の人々


はこの夢物語に騙されて株を買い漁


るのに熱狂しました。


そして株価は、天井知らずに跳ね上


がって行きました。


本当には根拠など、どこにもありは


しなかったのに、高揚感がパリに吹


き荒れ、人々はミシシッピ株を買う


ために全財産を売り払い、借金をし


ても易々と富を手に入れる方法を見


つけたと信じたのです。


フランス革命時のアッシニア紙幣(1792)

しかし、嘘は長くは続きませんでし


た。バブルは弾け、恐慌が始まりま


す。株価が実態を反映していないこ


とに気づいた投機家が高値のうちに


売ったほうがいいと判断して、手放


し出したのです。


こうして市場に株が供給され始める


と、株価は下落に転じ、当然のこと


ながら暴落に至りました。


中央銀行は買い支えましたが限度を


遥かに超え、資金が尽きました。


財務総監だったジョン・ローはそれ


でも株を買い支えるために、さらに


紙幣を印刷する許可を出します。


この財政の魔術を用いてさえも窮地


から脱することは適わず、その結果


フランスの金融界全体が、バブルに


巻き込まれたのです。


ルイ15世の治世の間には、5回もの


デフォルトが起こりましたが、


ジョン・ローのこの事件はフランス


革命の遠因を作る大騒動であったこ


とには違いありません。



ゲーテは古代エジプト以来、人類が


追い求めた錬金術の姿をここに見た


のです。


ただの紙切れを、金に等しい価値を


持つ貨幣に変えるという、錬金術的


現実を目の当たりにしたのでした。


ミヒャエル・エンデ(1929 - 1995)

ドイツの童話作家ミヒャエル・エン


デもお金というものへの問題提議を


作品を通して常に投げかけた芸術家


です。


エンデは生前に、このような言葉を


残しています。


「今日のシステムの犠牲者は第三


世界の人々と自然に他なりません。

このシステムが自ら機能するために


今後もそれらの人々と自然は、容赦


なく搾取され続けるでしょう。この


システムは消費し成長し続けないと


機能しないのですから。成長は無か


らくるのではなく、どこかがその犠


牲になっています。私が作家として


できることは、子孫達が同じ過ちを


犯さないように考えたり、新たな観


念を生み出すことです。人々はお金


を変えられないと考えていますが、


そうではありません。お金は変えら


れます。人間が作ったのですから」


ほかにもこのような言葉も残してい


ます。


「私が見るところ現代のお金がもつ


本来の問題は、お金自体が商品とし


て扱われていることです。本来、等


価代償であるべきお金が、それ自体


で商品となったことこれが決定的な


問題だと思います。お金自体が売買


されるのが現代です。これは許され


ることでしょうか。そのことにおい


て、貨幣というものの中に貨幣の本


質を歪めるものが入るのではないか


これが核心の問題だと思います」



エンデはシルビオ・ゲゼルに強い影


響を受けました。


代表作『モモ』はゲゼルの思想から


着想を得たと述べています。



シルビオ・ゲゼル(1862-1930)実業家,経済学者

ゲゼル主著『自然的経済秩序』では


あらゆるものが減価するのに、通貨


だけが減価しないために、金利が正


当化され、ある程度以上の資産家が


金利生活者としてのらりくらり生き


ている現状を問題視し、これを解決


するために自由貨幣、具体的には、


「スタンプ貨幣」という仕組みを提


案しました。


これは一定の期間、1週間或いは1月


ごとに、紙幣に一定額のスタンプを


貼ることを使用の条件とすることで


通貨の退蔵を防いで、流通を促進さ


せ貸出金利を下げるのが目的です。


ほかに男性に経済的に依存すること


なく、女性が子育てに専念できるよ


うにするための自由土地の思想に基


づいた母親年金も提唱しました。



日本では、地域通貨とゲゼルは関連


づけられていますが、ゲゼル自身は


正確には国家以外が管理する通貨に


は反対し、国家が責任を持って管理


しインフレもデフレもなく流通する


通貨制度を理想としました。



ケインズは、利子は必要なシステム

         ※

と見做しながらも「将来の人々は、


マルクスの精神よりもゲゼルの精神


からより多くのものを学ぶであろう


と私は信ずる」と述べました。



マルクスの『資本論』は難解なので


私は3巻の内の第1巻しか読んでいま


せんが、なぜこれほどまでに重要な


書物となっているのか疑問です。


そこにはなんらかのプロパガンダ的


要因が働いているように感じます。



ゲゼルは資本主義でも共産主義でも


ない「老化する通貨」「時とともに


減価する通貨」を提唱しましたが、


これはルドルフ・シュタイナーも同


様の提言をしたエイジング・マネー


にあたります。


地球の資源は有限です。


無限に増殖し無理な経済成長を強い


る資本主義も共産主義も人間らしい


本当の豊かさをもたらすものとは、


言い得ないのです。



メトロポリタン ドイツ映画1927年

さて、デジタルマネーが流通する社


会はすでに出現し、これからの金融


システムには益々大きな変化が訪れ


ます。



私はそんな現今を余所に、昔、山上


の廃村で子育てをして暮らしたのど


かな幸せを思い出しながら、不自由


な中にも人間らしい自然と共存した


生き方や物のない豊かさに回帰する


ことも選択肢にないものではない、


と夢想しながら、メトロポリタン・


TOKYOの片隅で暮らしています。




『雇用・利子および貨幣の一般理論』

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